エピソード(1) レンガ工場


今回のネパールの旅では、人間の一生の節目になる行事に巡り合う事が出来ました。
赤ちゃんのお食い初め式 → 男子のイニシエーション(少年になる式?) → 結婚式 → 葬儀  です。
国の祭りではシヴァ・ラトリーというシヴァ神の降臨を祝う祭りに参加しました。シヴァ神を祭る中心的寺院であるパシュパティナートは人々で溢れかえりインドから続々とやってきた裸の修行者達が焚き火を囲みながら大麻に酔いしれていました。
一晩で200キログラムの大麻が消費されたと新聞に載ったそうです。この日は許されるらしい。
観光客の若者が怖いもの体験したさで行者から吸わせてもらっていました。

いずれも興味深いもので追々ご紹介したいと思いますが、それらはネパール観光案内書で知ることも出来ますので、案内書には載っていない体験したエピソードをご披露しましょう。

レンガ工場見学
カトマンズは行くたびに空気の汚染が進んでいるように感じます。
バクタプールに向かう街道筋、田園風景が広がっているはずの場所にいくつものレンガ工場があり、レンガを焼く煙突がたち並び黒煙が放出されているのに気付きました。(1)
工場といっても目立った建物はありません。ただただレンガが山のように積み重ねられ煙突が聳え立っているのです。
「これはひどいわ」と言うとモティさんが見てみましょうと車を近くまで乗り入れました。
そこではレンガに適した陶土が出るらしく泥水の貯まった所から陶土が堀起こされています。(2)
そして夫婦らしき人がペアを組みその泥を1個ずつ木の型に詰め天日に干すために木の型からはがし並べていきます。朝から晩まで黙々と手早く。(3)
1日に約600個作るそうです。一日の給金は300ルピー(500円)。
天日に干して乾いた日干し煉瓦がきれいに積み重ねられ、それをそのまま囲って火を入れ焼きます。(4)灰色の日干し煉瓦はオレンジ色に焼きあがります。それを又所定の位置に運びトラックが集めに来ます。
そうトラック以外は全て労働者がします。8歳ぐらいから40歳ぐらいです。(5)
ネパールの住宅はレンガを積み重ねセメントで塗り固める方法が一般的で限りなくレンガが必要とされます。
2年程前には3つほど煙突がありましたが今回ざっと数えただけで15本ほどあり全てから黒煙が立ち上っていました。

そのうち陶土は底をつくでしょう。公害で反対運動が起こるでしょう。工場が機械化されるでしょう。人手がいらなくなるでしょう。
日本もそんな歴史を乗り越えてきたようにネパールも変わっていくのかなあとド素人の私は呆然とレンガの山を見上げるのでした。
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