ラリグランス通信(つうしん) 78号

** 2011.6.13 発行 **


Motiさんの家に横付けになった水のタンクローリー。 photo by SONOKO

     Motiさんの家には地下に井戸水を溜める貯水タンクがあるのですが、今年は渇水の為井戸水が枯れ、水をタンクローリー単位で買い地下のタンクに溜めています。
     タンクローリー1台は8000リッター。今回7500リッター入って1400ルピー(約1700円)。約1ヶ月分の生活用水とか。
     ちなみに我が家(神戸・1,5人)では先月6000リッター約900円。下水道料込みで1400円でした。
     生活費が日本の10分の1のネパール。水が非常に高価なのが分かります。
         

ネパールでは、2008年の王政廃止後、共和制憲法の制定を目指して論議を重ねてきましたがまとまらず、

今年の5月28日に予定されていた制憲議会は成立せず、相変わらず展望のない政情が続いています。

季節は雨期を迎えて、長かった停電生活が一日4時間程度まで復活したと言うことです。

でもまだ水不足は続いているそうです。


(もく)   ()

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LSG(Laligurans Sewa Griha)経過報告 

reported Moti Ghimire
  
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 ビスケート ジャトラ 祭

久堀洋子 記
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 嬉しい出会い ニューパニさん
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往復書簡 

そのこ ⇔ アシャちゃん
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日本での活動 
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あ と が き 



1 LSG経過報告
reported Moti Ghimire

ラリグランスクラブ代表の五十嵐さんとスタッフの久堀洋子さんが今年ネパールに来られた時、私たちはクラブの新しい取り組みについて相談しました。私たちはこれまで視覚障害者の生徒たちの教育を支援してきましたが、この先彼らがもっと勉強できる環境が求められていることが分かり、彼らのために宿泊施設を作ることを計画しました。LSG(ラリグランス セワ グリハ )「ラリグランス 助け合いの家」です。
それで私たちは候補地を探し、カトマンズ郊外のキルティプールの近くにとてもいい建築中の家を見つけました。完成すればLSGとして貸していただけることになりました。
現在2階の部分の壁が出来たところです。完成にはあと4ヶ月ほどかかるでしょう。
(写真は近くの風景 と 建築中のLSG)

   

The president of Laligurans Club, Mrs. Sonoko Igarashi and a member, Mrs Yoko Kubori, when visited Nepal this year, we had discussed about a new program. Till now, we had given opportunities  to blind students to study, but from now on, we had planned to provide them with a house to stay as well. We went to look for a location to rent the house. That house is still on construction. After the completion, the house will be rented to start ‘Laligurans Sewa Griha’. The second floor of the house had a partition by constructing a wall. The roof is yet to be concrete and the finishing is left. The whole construction will take almost 4 months.

2 ビスケート ジャトラ 祭

久堀洋子 記         photo by SONOKO

 4月16日は、ちょっと一服のような、お楽しみの日。

パタンでのバザーなどの買い物がおわり、2010年度の決算、2011年の予算の概算がほぼ出来上がり、ちょうどひと区切りついたこともあり、解放感。

モティさん一家と、飛行機の中で知り合ったキャリアウーマンのSさんとネワール族のビスケート・ジャトラ祭を見に行くことになった。
 モティさんと息子のアキオ君はオートバイで、私たちはタクシーで、お祭りのおこなわれるバニヤタールへ。

ネパール暦では、今年は4月14日が新年の元旦にあたり、ビスケート・ジャトラ祭は、元旦から2,3日にわたり、バクタプルをはじめ各地で催されるお祭りである。
 十数メートルの木の柱に、幟を2本付けたものをひきまわす儀式がある。

「ビスケート」は、「世界の幟」という意味がある。ネワール語では「蛇を殺す」を意味し、幟は旧年中にたまった邪気を象徴し、それを払うと解釈されている。

2本の高い柱に渡した幅広い赤い布の門をくぐると、道路に小さなかわいい傘をつけた神輿の様な物が5台ほど並んでいる。


てっぺんの傘、中程の傘、そこからたれている飾りの布は、すべて赤、赤、赤!


中程の傘の下に祭られている神様にお供え物をする婦人が長い列を作っている。



祈る婦人のサリーもまた赤、赤、赤!新しい年を祝う雰囲気がいっぱい!

山車の後ろにはネパールの楽団が円陣をくみ音楽を奏で、その中や外で、それに合わせて踊っている人がたくさんいる。

   

11時から、山車が動くと聞いていたが、一向に動く気配がなく、私たちは近くの食堂で、チョウメンをたべて出てきたが、まだ、始まる気配がない。またまた、近くの公園の木陰で一服することにした。

神輿のところに戻ってみると、お祈りをする婦人達に代わって、山車を担ぐ若者の姿が増えてきた。Tシャツにズボン、という格好。特に衣裳は決まっていないようだ。

神輿が行進し、最後に池の中に入っていくと言うので、その池の近くに行き、見えるところに陣取ることにして移動する。人がどんどん増えてきて池の近くの3階建て位の建物の屋上は鈴なりの人!池と言うか、プールの様な水たまりの回りの金網には沢山の人が張り付いている。

モティさんが「この家の屋上に上がらせてもらいましょう」と言われ、見も知らない人の家にあがっていいものだろうか?と迷っている内にそのあたりの人たちが、みんな知り合いのように入っていくので、つられて、私たちも入って屋上にのぼってしまった。このビルのオーナーは、水を詰めたボトルを製造・販売していて、商品名は「OMIZU」。

日本で働いた経験もあり、日本語が話せて、しばし会話を楽しんだりした。自分のことを「オレ、オレ」と連発するのがおかしかったが。

その商品の水を私たちはじめ、見も知らぬみんなに配ってくれたり、見やすいように植木鉢や荷物などををどけてくれたり、大サービス。心から、お祭りを楽しんでいる様だった。

神輿のまえに、楽隊のグループ、ネワールの白い民族衣装を着た男性のグループ、赤いサリーーを着た女性のグループなどが通過し、いよいよ5台の神輿が池に近づいてきた。

狭い入り口をじょうずにすり抜けたかと思うと、いきなり池の中へ!あまり水しぶきも上がらず、しずしずと奥に進む。我々のいる屋上から、ビルの上から、路上から、喚声が上がる。冷たそう!一台が出口に近づくと、2台目が。なかなか出口からでない神輿もあり、ちょっと小競り合いになったり。かなり激しく水しぶきを上げて進む神輿もあったり、様々だ。5台目が出口を出てしまうと、一斉にため息が!

  去年の邪気を払い、新しい気持ちで新年を迎えるというのは、ネパールでも日本でも同じなんだな、と思わされた。

 ビルから降りて、池の近くに行くと、池は解放されたのか子どもたちが水遊びに興じていた。

3 素敵な出会い

Laxman Neupani(ラクシマン ニューパニ) さん
(写真の中央。おしゃれなニューパニさん。)

モティさんの親友です。ご近所友達でしたが最近郊外に引越ししました。1男1女あり。37才。

ニューパニさんはBright Savinig and Credit Cooperation Ltd という融資銀行(?)のマネージャーの仕事をされ、2月にモティさんがそこに役員の1人として雇用され一挙に親密な関係になったようでした。

2,3年前、会社が危なくなった時、ニューパニさんの力で持ち直し、今経営状態は良好とのことでした。

カトマンズを訪れた私たちがジリのほうへ旅行に行くことを知ったニューパニさんは、最近車を買いドライブしたいし、ジリは知らないし、日本人のことを知りたいしと、一緒に行きたいと申し出られました。

それで車を出し運転をお願いする代わりに、宿泊費食費ガソリン代を私たちが持つと言うことで話が成立しました。

ニューパ二さん。絶えずニコニコ笑顔を絶やしません。ネパールのフォークソングをガンガン響かせながら楽しいドライブです。(旅行の様子は前ラリグランス通信77号参照のこと)

旅行最後の日の夕食時、ローソクの灯りともるホテルのガーデンで、カトマンズの夜景を見ながらいい雰囲気の中、ニューパニさんが最後にどうしても尋ねたいことがあると切り出しました。

「日本は文明も発達し便利な生活をしているけれど、近所の人々や親族ともあまり付き合わず家族はバラバラで、淋しく不幸を抱えている人がいっぱいいると聞いています。貴女達のご家庭はどうなんですか?こんなに長く家庭を留守にしていいのですか?そんなのでご家族は平気なのですか?」

「ネパールは貧しく不自由な生活を強いられてはいますが、心はみんなハッピーですよ。
毎日神様に拝むことから始まる生活、家族や親兄弟はみんな仲良くいつも一緒に助け合い生活しています。近所の人々とも家族ぐるみで行き来しいつも笑いが絶えずハッピーです。日本人は孤独で不幸なのではないですか?」

ちょっとビビッた私たちからの回答は
「幸福の度合いというのは個人の考え方によってちがうでしょう?日本人はとか、ネパール人はとかで決められないんじゃないですか?
ネパール人にもニューパニさんやモティさんのように幸せな人もいるし、一方では不幸な人もいるでしょう。日本人も同じよ」

「みんな一緒に行動するというのは、楽しい反面色々束縛があるでしょ。自由ではないですね。」

「信心深いというのは、神頼みにしないと解決されない問題が多いとも言えますねえ。」

「全てのネパール人が幸せならば、ラリグランスクラブは止めていいということになるかな?」
というようなことを話しました。

「ネパール人は幸せね。日本人はそれと比べると不幸だわ。」という答えが欲しかったようなニューパニさん。
カルチャーショックを受けたようで、それから少し寡黙になり、お酒のピッチがあがり、その後の運転の怖ろしかったこと!
(ネパールでは酒帯運転は普通。)

ネパール人の信仰のあつさを、「神頼みをしないと解決されない問題が多いからかもよ」なんてつい意地悪なことを言ってしまいましたが、ネパールの人々の中に神様がしっかり根付いていることは事実です。
でもそれは信仰心というより<神様を祀る伝統を大切に守る>というゆるぎない信念のようにも思うのです。

一度の会話で分かり合えるようなものでなく、私たちもかなり深いカルチャーショックを受けました。

良い出会いでありました!

会えてよかった、ニューパニさん!




4 往復書簡

そのこ ⇔ アシャちゃん

 
親愛なるアシャちゃん!

お元気ですか?弟のアヌプ君も元気かな?

この前会った時アシャちゃん元気がなかったけれど大丈夫ですか?
せっかく音信不通だったお母さんが戻ったというのに、お母さんは全然優しくなくて面倒もみてくれず悲しんでいましたね。
でもね、お母さんは自分の苦しみを娘に見せたくなくってそんな態度を取っていたかもしれません。
どうぞお母さんを許してあげなさい。そしてお母さんのことは忘れて自分とアヌプのことだけを考えてください。
貴女の将来の幸せを考えなさい。
そのための一番良い方法は今勉強を一生懸命することです。

貴女が困難にあったときにはモティ小父さんに相談しなさい。
私が傍にいて力になってあげたいけれど遠い日本からそれが出来ません。
ですからお手紙を書きます。
アシャちゃんもお返事をかいてモティ小父さんに渡してください。
ネットでお手紙の交換をしましょう。

日本の東北地方に大きな地震と津波が起こりました。そこでは大勢の子ども達が、両親や兄弟や家を失いました。
それでも負けないで困難に立ち向かっています。
アシャちゃんもつらい境遇に負けないで頑張ってください。
それではお元気で。お返事を待っています。

愛と祈りのうちに
五十嵐園子



       

親愛なる そのこおばさま
私は今家族一緒に元気にしています。暴れん坊だった弟のアヌプも聞き分けよくなっています。勉強にもよく取り組み、分からないところがあれば私が見てあげています。私はこの前成績が悪かったことは忘れて、これからやってくる未来のことだけを考えるようにしています。

この間お目にかかったとき悲しい思いをさせてしまってごめんなさい。私はお母さんのことを理解していないのかもしれませんが、お母さんが何故正しいのかは分かりません。私は生きていくのにどれほど両親が大切なことかが分かりました。でもお母さんが大きな誤りを犯したことは事実です。お母さんは私を傷つけたことを忘れますが、私は決して忘れはしません。
そうです。私は自分の将来、弟の将来のために、今は勉強に集中することだけを考えています。

私は世界から貧しく寂しい子ども達がいなくなることを信じて神様に感謝の気持ちを持ちたいと願っていますが、私の心は直ぐ悪い方に向かいます。でも、他人のことを思いやり手をかす人がいることを知りました。
幸運にも私はモティ小父さんと皆さんの愛に出会いました。モティ小父さんは度々私たちを訪ね、私たちが必要とするものにこたえてくださいます。彼は本当にナイスガイです。
私に生きる道を示し、暗闇から光を見つけ出してくださったラリグランスの方々には感謝の言葉もでません。

もし又お便りがいただければ幸せです。
感謝を込めて
アシャより






  日本での活動

 寄付金御礼

 匿名希望 様  一名

 小田成人 様 (お振込みありがとうございました。この記事がお目に留まることを願いつつ、、。)

 京都ノートルダム女子大学 同窓会 様 

 販売協力

☆ 小林聖心女学院 同窓会グループ KOKORO 様

 出店

☆ 奈良 ミンピ 様     奈良のアジア民芸品店にネパールより持ち帰った商品を置かせていただきました。

☆ 神戸 ドリトル 様    神戸市東灘区の貸しボックスの一部に商品を置かせてもらいました。   


皆様方の暖かいご支援に心より感謝いたします。

スタッフ一同 ご期待にそえるように一層の努力をし頑張ります。

これからもよろしくお願い申し上げます。


6 あ と が き

東日本大震災の死者は行方不明者を含めて2万人を超えました。

津波地震災害に加えて福島原子力発電所の損傷による放射能汚染の収拾が行き詰まり

日本中が揺らいでいます。

目が東日本に向くもののネパールからは目を逸らせず活動を続けています。

皆様の変わらぬご支援に感謝いたします。


ラリグランスクラブは寄付金(きふきん)とバザー(など)売上金(うりあげきん)のみで活動(かつどう)しています。皆様方(みなさまがた)(あたた)かいご支援(しえん)をお(ねが)いいたします。


ゆうちょ銀行 総合口座





記号14360 番号68422691 

名義 : ラリグランスクラブ 

領収書の発送が出来ません。
ゆうちょ通帳からは振込み手数料無料です。

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