ラリグランス通信(つうしん) 107号

                    ** 2014.23 発行 **                   


                    ☆ カトマンズ⇔バイラワの機上から       2014.4 photo by Sonoko



ネパールに行っている間に桜が咲いて散りました。

埃まみれのネパールから帰ってきて、瑞々しく輝く新緑をみて、この国に生まれてよかったと思ったことでした。

今回のネパールでは珍しく体調を崩したのですが、ラリグランスクラブの活動はやり遂げました。

ネパール視察旅行も14回目となりましたが、マンネリになることなく

今回も新しい発見があり、得ることも多く感謝の旅となりました。



2014年3月〜4月 ネパール視察旅行の報告



目  次 ( content )

 1
カトマンズの様子
 2 カトマンズでのラリグランスクラブ活動
 3
バルタ バンダ 祭り
 4
 日本でのラリグランスクラブ活動

 5
あ  と  が  き
 



1 カトマンズの様子

☆ ネパールの街の様子
  



内閣が決まり新たに政治が動き始めましたが、国民は半信半疑。


とりあえず様子を窺うという感じでしたが、これまでと比べ街中は落ち着いて、人々の表情も和らぎ平和でした。


写真は、4月14日、ネパール暦では1月1日のお正月。


ボダナートは初詣に集まった人々であふれていました。














☆ 相変わらず悪い生活環境




カトマンズ内の道路の整備はゆっくりながらも進み、舗装の具合がよくなったところが去年より増えましたが、まだまだ市内の道路は掘り返され埃でいっぱいというのは変わりありません。



ガソリンは随分値上げをされ(1リッター 148円ぐらい)、そのため買える人も少なくなったとかで、去年のようにガソリンを買い求める人が長蛇の列という光景には会いませんでした。



写真は比較的落ち着いたカトマンズの街中










2 カトマンズでのラリグランスクラブの活動

☆ 1年ぶりの奨学生の家庭訪問   去年の様子は( 通信87参照 )

 ビシャル・タマン君



去年のビシャルは、学校でいじめにあっているとか、悪い友達に引きずりまわされているとかで、成績は下降、勉強に意欲を失っているようで心配しました。



ところが今年は見違えるように元気になっていて嬉しかったです。



SLCまであと3年。試験合格のために頑張ろうという自覚も生まれ成績も安定しほっとしました。



親戚も同じ集合住宅に住み仲良く頑張っている様子がうかがえました。

   








   アシャ・タパ さん 



SLC試験が終わり結果発表待ち。



手ごたえはあったようで試験合格後の進路について話し合いました。



ラリグランスクラブではSLC試験に合格すればサポートは終わりとしていますが、情が移ってしまいこれからのサポートを考慮中です。








 

  アヌプ・タパ 君


しっかりもののアシャの弟。


去年は、すっかり勉強の意欲をなくし遊びまわっている気配だったので、このままではサポートを止めざるを得ないと勧告しました。



それが効いたのか勉強に前向きに取り組み成績も上がり安堵しました。









  シリステイ・ミジャール さん
 

訪問時間が少し早くなり、シリスティはシャワーを浴びている所でした。



いつも可愛い花束を用意し真新しいクルタスを来て出迎えてくれるのですが、大慌てでした。



髪の毛を片方に寄せた三つ編みに結ってあげたらとても喜んでくれました。



家も2間で小さいながらも、毎年少しずつこぎれいになっていくのが分かりました。



お父さんはずっと靴職人として働きお母さんはハウスキーパーのような仕事で頑張っていて、貧しいながらもきちんと家庭生活が営まていることが分かります。






☆ LSG(ラリグランス セワ グリハ:視覚障害児の寮)の訪問




去年から寮生になり暮らしていたサリタが、突然親にもモティさんにも寮母さんのブスパさんにも黙って寮を出て駆け落ち結婚しました。



新学期の授業料も払った所だったので、モティさんもガックリです。



ネパールでは現状から逃れたくて男に騙され結婚に走る女性がまだまだ多く、女の子のサポートはこんなことがことがあるから大変ですとMotiさんは嘆いていました。



でも結婚となると仕方がないかも。彼女はまだ15歳です。相手も視覚に障害があるということで、お互い支えあう愛が実ったのでしょうか。



彼女の幸せを祈ります。



入れ替わって新しい寮生が決まりました。


写真左が新入寮生アミスタ。4月から7年生(13歳)。先輩スナ(8年生)が読む英語点字本を興味深げに見ています。視力はほとんどないのですが。


今年は久堀洋子と二人LSGに泊まり、より深く子ども達の生活を感じることが出来ました。


LSGの楽しくエキサイティングな報告は次回の通信108号で久堀洋子が詳しくお知らせします。


お楽しみに!



☆ ラリグランス保育園の訪問(幼児の様子と 編み物スタッフとの話し合い)

 



春休みなので園はお休み。園児たちとは会えませんでした。


園長のプラバ先生もいませんでしたが、二人の先生がわざわざ来てくださいました。


UFJ(大阪ユニバーサルスタジオ)の途上国支援のプロジェクトからという、たくさんの寄贈品を神戸の六甲カトリック教会からいただいていましたので、届けました。


保育園の予算は限られて教材が極端に少なく先生方も苦労されていたので、寄贈品は園児の指導に役に立てたいと大喜びされました。



先生方はラリグランスクラブの編み物プロジェクトの編み手さんでもあり、これからの編み物の相談もしました。



日本市場には安価なネパールの編み物製品が溢れ、私たちの製品は販売が難しくなっているので、しばらく休んで様子を見ることに決めました。

☆ ネパール民芸品の購入

    
     
ラリグランスクラブの運営資金は、支援者からの寄付金と、ネパール品販売とで成り立っています。

支援者の寄付金に頼ってばかりではいけないので、商品の販売にもいっそう励む心意気で、今年も仕入れに頑張りました。

仕入れは、とても体力と忍耐が必要です。商人に騙された体験も重ねてきました。

10年たちようやく信頼できる店も定まってきたので、今年からは安価と商売人的笑顔に惑わされず、ある程度決まった店に集中して仕入れることにしました。

商品も安価なものは減らし、値段が少々高くても品質の良いものを仕入れることにしました。

自信を持って勧められますのでどうぞ購入にご協力をお願いします。

写真左の店は4年前からおなじみになったスマイル。オーナーさんは日本で縫製を学びスマイルの手作りのベストやスカートの縫製は完璧。

フェアトレードの品物も店に置きラリグランスクラブにも理解があり、ディスカウントした正直な値段で取引が出来ます。

右は、タメルの定宿から近い店。山羊革バッグを品数多く置く土産物屋で、店主が適正な価格を示し感じがよく2年前からの付き合い。

☆ 元気になったディリさんとの再会



5年前のこと、編み物スタッフだったディリさんが胆のう炎を患い倒れました。


モティさんが奔走し入院・手術の手配をしました。その時妊娠中であることが分かり、医者がこのままだったら母子ともに命が危ないと言われました。


ところがディリさんは手術した後モティさんにも誰にも告げず退院し何と田舎で出産しました。


その時は本当に驚きました。


その時の赤ちゃんも今では保育園の年長さん。私たちが訪問するのを首を長くして待っていてくれたそうです。


目に黒々とメークして!


ディリさんも子どもも、「ラリグランスクラブのお陰で命が助かった」と言って喜んでくれています。


子どもも利発そうでとても可愛らしく嬉しかった。

中央の女の子はお姉ちゃん。今年進級に失敗し5年生をもう一度することになったと屈託ない笑顔。

貧しいながらも誰にも頼らずディリさん一家は生活しています。

頑張っている母子に、UFJからのプレゼントをあげました。


☆ ソムニード ネパール支所を訪問



ソムニードは、Society for Mutual aid, Networking, Environment, Education & Developmentという岐阜県高山市に本部を置く国際協力NGOのグループです。
< http://www.somneed.org  >







朝日新聞に2007年、土曜日の[be]のフロントランナーで取り上げられた和田信明さんの活動に感銘をうけて以来、ソムニードニには関心がありました。


どこに感銘を受けたかというと、ソムニードの活動が基盤に置くのは、[住民自らの「気付き」であり、つまり、住民はどのような暮らしを望み、どのように地区を変えたいのか、何が問題で、解決策は何かを住民自らが考え、やる気を起こすことを手助けするという点です。


それはラリグランスクラブでも一番大切にしていることなので、共感を覚えていました。


その頃はインドやインドネシアでの活動だったようでしたが、2年前にネパールでも活動を始められたと知ってネパール支所を訪問したくなりました。


ネパールでは、バグマティ川を20年かけて清らかな川に住民の手で実現させることを目指し、手助けのウォークショップが始められていました。

「そんな夢みたいな、、、無理無理!」と思っていましたが、ソムニードからの通信を読み、少しずつ前進し活動が定着しつつあることを知りました。

折りしも代表の和田さんが私たちがカトマンズにいる時にネパールに行かれるとのことがわかり早速面会のアポをとり話を伺いに押しかけました。

和田さんは温厚な素敵な話し方で、深い思いを語ってくださり、ラリグランスの活動に大きな力を得ました。

モティさんも地域の長の立場として得ることが多く感銘を受けたようでした。

  

  3 バルタ バンダ 祭



バルタ バンダのお祭りは、男子の元服のお祝いです。

「ネパール人にとって一番大事なお祭りです。」とモティさんが日頃からおっしゃっていました。


ネパールの<ブラマンカーストにおける一番大切で大きなお祭り>であると言えるかもしれません。


チェットリやネワールのカーストにもバルタバンダは祝われ、それぞれの司式にのっとって行われるようです。


各カーストの儀式で変わらない印(しるし)は6本の聖糸で撚り合わされた糸を肩から斜めに一生身につけることです。


その糸を与えられた時から、男児はそのカーストの立派な成人とみなされることになります。
(家が貧しかったり家庭の事情でお祭りをしてもらっていないネパール人もいます。)


その儀式は4〜5時間はかかります。僧侶による祈祷、髪の毛を後ろの一部を残して剃りあげる儀式など延々と続きます。

カースト(階級)制度は止めるべきという意識は何年も前から言われていますが一向に是正されないのがネパールです。


ラリグランスクラブのカトマンズ支部長のモティさんは上位のブラマンのカーストに属しているので、私たちの活動は虎の威を借りて助けられたことも多くあります。

又カーストからも見放されたダリットの人々が受けている限りなく多くの理不尽な差別も、より感じ取ることが出来ます。

特にモティさんはそのことを感じてラリグランスの活動に賛同し、自分に何も見返りのないラリグランスクラブの活動に積極的に協力され活動をともにしてまいりました。

でも、彼は自分のカーストを愛し誇りにも思っています。

それで、息子の大切なバルタバンダ式には私たちにも是非とも参加してほしいとの思いを持っておられました。

会場はモティさんの母親(89歳)が彼の兄達と暮らすネパール西南部のブドゥワルという田舎で行われました。

カトマンズから車で7〜8時間かかるところで困ったなと思っていたら、運良く(?)私が体調を崩して私たち2人は飛行機で移動することになりました。飛行機からはヒマラヤ山系が美しく見えよかったよかった。

釈迦生誕の地ルンビニに近いバイラワという飛行場に着き、そこからブドゥワルまで車で小一時間。車窓からはタライ平原の豊かに実る麦畑が見渡され、田を耕す水牛、働くサリー姿の農婦がカトマンズの喧騒を忘れさせてくれます。ブドゥワルに2ヶ月前に出来たというこ綺麗なホテルに到着。

しかし、そのホテル。初めて来た外国人客というので、しかも客は私たち2人だけで、従業員がみな興味津々。

親切だけれど次々と入れかわり立ちかわり部屋に来てはおしゃべり。

従業員の若い男性が「私はチェットリのバルタバンダの紐を身につけています」と言って、首から手を入れて紐を手繰り寄せて見せてくれました。

気温は38度。クーラーなし。扇風機のみ。四六時中充電のラジエーターの騒音。夕方になったら気温下がりますというけれど32度にまでしか下がらない。ここに3泊。熱中症でよくも死ななかったものです。

さてそのお祭りは。

   

カトマンズでするなら2〜300人は招待せねばならないし、式も業者任せになることも多いけれど、ここでは、親戚一同、近所の人々全員が集まり、祭りの飾りつけやお料理も皆和気藹々の共同手作りです。


今回従兄弟の3人が同時にバルタバンダを迎える事になり一層に盛り上がります。


朝8時から始まり午後2時に儀式が終わったあとは夜中までパーティが続けられました。


親族の方々や近所の方々も日本からのゲストを暖かく受け入れてくださり、ネパールに根付くこの華麗で不思議なこのお祭りに参加し、貴重な体験が出来て本当によかったです。



招待してくださったモティさんに心から感謝したことでした。


4 日本でのラリグランスクラブ活動

 寄付金拝受   

     服部ヤス子  様



バザー商品 購入 ご協力

     服部ヤス子 様と そのグループ

2014年4月から2015年3月までの支援金及び商品売上金は、2015年度のネパール活動に活用するためにプールします。


六甲カトリック教会に、UFJからのプレゼントを間違いなく届けている写真ファイルを制作し提出。


5 あ と が き

報告することが多く、一度に書ききれませんでした。

LSG訪問の詳細は108号でお知らせします。

色々楽しいエピソードもたくさんありますので順次通信に載せていきます。

さて、2014年度の始まりです。頑張りますので皆様の変わらぬご支援をお願いします。




*ラリグランスクラブは寄付金(きふきん)とバザー(など)売上金(うりあげきん)のみで活動(かつどう)しています。

   *LSG(視覚障害児寮)の運営が始まり、寮の維持(借家代、寮母さん給料、光熱費、寮生の食費)に、年間60万円ほど経費が増えました。

   *日本での事務経費は公益財団法人コープともしびボランティア振興財団からの助成金で賄うことが出来、
皆様方からの寄付金とバザー売り上げ金は全てネパールでの教育支援活動に使うことが出来ます。

   *スタッフ一同バザー活動に頑張りますが皆様方(みなさまがた)(あたた)かいご寄付金(きふきん)をこれからもお(ねが)いしたいです。


ゆうちょ銀行 総合口座への振込み

ATMによるゆうちょ銀行口座間の振込み手数料は無料です。
窓口で郵貯口座からの振り込みは手数料140円が必要です。
領収書の発行は出来ません。

   記号14360 番号68422691 

   名義 : ラリグランスクラブ 
  
   口座の種類 :普通口座

ゆうちょ銀行 振込用紙を使っての振り込み

メッセージを書くことが出来ます。
住所氏名をお書きください。領収書を発送いたします。

申し訳ございませんが振込み手数料が必要です。

(窓口での振り込み手数料:3万円未満120円・3万円以上330円)
(ATMからの振込み手数料:3万円未満80円・3万円以上290円 
  振り替え口座番号 00960-7-244821

  名義 :ラリグランスクラブ

ホームページ制作   ラリグランスクラブ代表 五十嵐園子

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