ラリグランス通信(つうしん) 108号

                    ** 2014.5.25 発行 **                   


                    ☆ タライ平野にて (ネパール西南ブドゥワル) ☆      2014.4 photo by Sonoko


青葉若葉を揺るがせて吹く爽やかな風

新緑が美しい季節です。

ネパールでは8月より今が暑い季節です。

先日は私達が行ったバイラワでは42度を超える暑さになったそうです。





目  次 ( content )

 1
新寮生アスミタ・サンジュ
 2 ルースさんの結婚
 3
LSG(視覚障がい児寮)を訪ねて
 4
 日本でのラリグランスクラブ活動

5 
ネパールこぼれ話(1)

悩み多き買い物の巻
 6
あ  と  が  き
 


1 新寮生アスミタ・サンジュ

                                      reported by Moti Ghimire

LSG(Laligurans Sewa Griha ラリグランス視覚障がい児寮)に新寮生アスミタ・サンジュを5月5日に迎えました。

彼女はLSGに住み勉強ができることを大変喜んでいます。

その気持を英語点字で書きそれを読んでくれたのを私がタイプしました。

(写真は点字で書いた文章を読むアスミタ(左)と英語に書き写すモティさん。右は勉強するスナ。)








  私の家はパナウティ(注・カトマンズの東北部)にあり、家族は母と弟と3人です。バルキュにあるグロリアスクールに通っていましたが、去年6年生(12歳)の時失明しました。そのため勉強は出来ず試験も受けられなくなりました。
 
 私は6歳の時に左目をドアにぶつけて怪我をし、それ以降は右の目だけ見ることが出来たのですが、去年右の目も見えなくなってしまいました。右目の手術もしましたが回復しませんでいた。

 グロリアスクールのレッカ先生がラボラトリースクールでは視覚障がい児も勉強出来ますと話してくださいました。

 それは私とって朗報であり、毎日パナウティから学校に通う(注・片道2時間位かかる)のは大変だけれど、思い切って転校させてもらうことになりました。そのため英語点字を覚え書くことも読むことも出来るようになりました。

 ラボラトリースクールには音楽のラメシュ先生がおられて、先生はLSGでも音楽を教えておられます。先生から家から通うのは大変だからと、LSGのことを聞きました。でも寮に住むのは経済的に無理だったのでLSGに入ることは難しいと感じていました。

 母は私を学校に通わせるために皿洗いや洗濯の仕事(注・貧しい婦人たちがやっと出来る仕事)をしてくれていて、とても私から言い出せるものではありません。

 私はもしLSGに住むことが出来ればもっと勉強ができるなあと分かってはいました。

 そんな時LSGに日本から五十嵐園子さんと久堀洋子さんが来られることを先生から聞きました。先生の勧めもあって母も一緒に見学に行きました。そしてその時、母がモティ・ギミレさんに私をLSGに置いてくれないかを話してくれたのです。母は私がLSGに行きたがっていることも伝えました。

 5月5日からここに引っ越しし、勉強を続けられています。私にとってLSGに居られること以上の幸せはないです。

 ラリグランスクラブのサポートがなければ、勉強を続けることは出来ないでしょう。

 感謝しています。

        アスミタ・サンジュ     (五十嵐が日本語に翻訳

アスミタ・サンジュのプロフィール

学年 ・・・・・・・・・・   7年生

生年月日 ・・・・・・   1999年10月生まれ

父 ・・・・・・・・・・・・   不在

母 ・・・・・・・・・・・・   家政婦

弟 ・・・・・・・・・・・・   10歳



2 ルースさんの 結婚

reported by Moti Ghimire

   

ラリグランスクラブの奨学生だったルースが結婚をしました。

彼女はSLC試験を合格した後、クラブのサポートで保健婦を目指して勉強を続け、CMA(Community Medical Assistance看護助士)のライセンスもとって病院で誇りを持って働いています。(通信49号 参照 そこではクリシュナさんとなっていますが今はクリスチャン・ネームのルースに変えています)

子供の頃プロテスタントのクリスチャンになりました。結婚相手は幼なじみの軍人で双方の親に許可を得て教会で結婚式がありました。

私と妻のサンタが式に参列しましたが、私達にとってキリスト教の結婚式は初めての体験でした。

私達は彼らを心から祝福し、彼らの末永き幸せを祈りました。


3 LSG(ラリグランス・セワ・グリハ視覚障がい児寮)の訪問
  

 LSGをオープンしてから3年経ちました。

 今年は思い切って久堀と五十嵐の二人は宿舎に1日泊まることにしました。
子どもたちの寮生活の様子や寮母さんの働きぶりを体感するためです。

 ゲスト用の寝具がないため寝袋持参の宿泊です。


3月31日

 午前中、バザー用品仕入れの店に決めている「SMILE」でベストの縫製の注文をしてから、LSGに向かいました。

 子どもたちはまだ学校から帰宅していなかったので、寮母のブスパさんの夕食準備の手伝いをしながら子どもたちの帰りを待ちました。

 ほうれん草のような緑の野菜の掃除です。寮の裏手の狭い土地で育てた野菜と言いますが、雑草と野菜が区別できないような空間。

 しっかり畑を耕せば、結構沢山の野菜を育てられるのに、、。









 音楽のレッスンと学校の勉強。

 そのうちに制服姿のマニシャとスナが帰宅。再会を喜び合い、彼女たちは手すりのない階段をなれた足取りで2階へ。

 音楽指導教師のラメッシュ先生がもう一人音楽のラマ先生を伴ってやって来ました。

 早速音楽のレッスン。音楽のレッスンが終わったころ、家庭教師の若い女性のラマ・ネパールさんがやってきて明日の期末試験のための勉強が始まります。

 2時間ほど勉強に集中し、ようやく私達との交流時間です。夕食が出来るまでブスパさんの娘のクリパも加わってお喋りしたりトランプをして楽しみました。





まず「7ならべ」

 スナは視覚障がいがあるので自分の手持ちのカードはもちろんテーブルに並べられたカードも一枚一枚触って確かめねばなりません。(マニシャは視力が少しあります。)

 スナも直ぐにルールを理解してゲームが出来ます。時間はかかるけれどみんなニコニコ。おおいに楽しみました。  

次は「婆抜き」

 どういう訳かマニシャのカードが全然合いません。お隣のスナからカードを抜くたびに小声で「No!」。だんだん「No!」の声が大きくなります。最後には内気なマニシャが感情をむきだしに「No,!Unlucky!」と悔しがりました。

可哀相だけれどみんなで大笑いしてしまいました。








 ブスパさんから「ごはんですよ」との声

  夕食は、野菜のカレー、ダルスープ、タルカリ(野菜お浸し)、アチャール(漬物)とネパール定番のごちそうです。

手を合わせて「いただきます!」。「イタダキマス」の挨拶を教えてあげました。

 タルカリは先ほど掃除した裏庭の緑野菜。おぉ美味!

 アチャールもトマトベースであっさりしていて美味しかった。

 スナとマニシャは、右手で上手に口に運び、お皿を汚すことなくきれいに完食。

手を合わせて「ゴチソウサマ!」も覚えました。

二人で代わる代わる卓上の大きなペットボトルの水を、ネパール独特の飲み方で口を付けずに上手に飲んでいました。

私達にはまねができません。






 「顔を輝かせて話すスナ」

夕食後はゆっくりおしゃべり。とは言っても、お互いに相手の英語を理解しようと勘を働かせながら真剣です。

 身振り手振りを見てもらうことが出来ないのですから。

 食後のデザートにと日本から持ってきたクルミ餅をあげて、「これは、おもちというrice cakeよ」と説明したら、スナが 「おもち知っています。日本では1年の最後の日にお餅を食べるんでしょ?昔、貧しくてお餅を食べられないおじいさんとおばあさんが居て、お餅をつくるまねをしていたら、誰かがお餅を持ってきてくれたんでしょ?」と夢中に話し始めました。

 「ええっ!それは日本の昔話<かさ地蔵>の話ですよ。どうして知っているの?」

 驚きました。おそらく以前にNBSAの渥美さんからもらった<日本昔ばなし>の英語点字の本を読んで知ったのでしょう。

 スナ達は本が大好きで今回神戸シルバーカレッジ英語点字グループから頂いた点字本の表紙をさ擦りながら顔を輝かせていました。


 英語点字本を読むことによって、知識を得るだけではなく、世界の物語や素晴らしい風景などを豊かに想像する力をしっかり得ていることを知って、深く心を打たれました。

ベッドールームに引き上げる私達に、まめまめしく気を配ってくれるのも目の見えないスナとマニシャなのです。

停電で私達はランタンを使う必要があるのですが、スイッチの押し方や置き場所などを手にとって教えてくれてくれるのです。

4月1日

「明け方、雪が降ったんですよ!」

 次の日の朝、モティさんが心配して電話をかけてきました。


「どうでしたか?昨夜は寒くなかったですか?よく眠れましたか?」

 

 「実は、寒くて大変だったんですよ!驚いたことに明け方には雪がちらついたんです。モティさんの所は雪が降りませんでしたか?本当にびっくりしましたよ!」

 「ええっ!雪が?ホントですか?大丈夫ですか?風邪をひかなかったですか!」

 今日は4月1日。「Aipril fool !!」 

  みんな騙されて大笑いでした。

「おにぎり作戦、大失敗!!!」

 今日はいよいよ子供たちの家族や音楽の先生を招いてのパーティです。

 参加者は、ラメッシュ先生とラマ先生。スナとマニシャ。マニシャのお兄さんと妹。新しくSLCの寮に入ることになったアスミタ・サンジュと彼女の母親と叔母さんと親戚の人。私たちのスカラーシップで音楽の勉強をしたマドウ。SLC試験を終えたばかりのアシャ。クリパとブスパとその妹のガンガ。借家オーナーの息子のスイヨグ。運転手のギネッシュ。モティさん、サンタさん、アキオくん。そして私たちの22名。


 私たちはランチにサプライズで、日本のおにぎりを作って喜ばせようと計画していました。
 
 日本から持ち込んだパック入ご飯に、中身は梅干し、昆布、ふりかけです。電子レンジはないので、あっても停電だし、大きなお鍋にお湯を沸かし15分温めます。

 子供たちの家族がだんだん集まり始め、おにぎり作りを見ています。私達が意気揚々せっせとおにぎりを握るのを、何だか不審そうに見ています。初めておにぎり作りを見たからだろうと、たいして気にも止めていませんでした。


 
 さて、お楽しみのお食事の用意が出来ました。一人用のお皿に、モモ、唐揚げ、バナナなど色々盛りつけて、そこにおにぎりも1個添えて配りました。

「イタダキマス!」

 ところが、みんなはおにぎりは要らないと味も見ないで
大皿に返してくる!ええっ!どうして??

ブスパさんの妹のガンガさんにたずねると、

「ネパールではご飯を丸く握ったものをお皿にのせて川へ流す風習があります。それは死者へのお供え物で、人間は食べません。」だって!

 「モティさ〜ん、そんな習慣があるなら事前に教えてくださいよ!」

 モティさんは、「どうかな?と、ちょっとは心配したのですが、おにぎりは本当に美味しいし、みんなもびっくりして喜ぶかなと思ったんです。でもまさかここまで避けられるとは思わなかった。私も驚きました。すみません。」だって。


それでも元気に「ゴチソウサマ!」

 「素敵な音楽会!」

 食後はいよいよ音楽会です。アキオくんの司会で始まりました。

 全員起立し胸に手を当て国歌斉唱。

 私達から簡単な挨拶。

 次に、ラメシュ先生作詞の「歓迎の歌」をスナとマニシャが歌ってくれました。

 Laligurans Sewa Grihaにようこそ!   
  Laligurans Sewa Griha.が美しく咲く花のように長く続きますように。
  あなた方と私達が共に花の道を喜びで歩んで行けるように。
  悲しみの道ではなく幸せの道を。
  Laligurans Sewa Grihaよ永遠に
 You are welcome !You are Welcome !





    

去年に比べ、スナとマニシャは自信を持って歌えるようになっています。

 みなが次々と歌を歌ってくれましたが、中でもマドウさんの歌声はとても素晴らしく、貫禄があります。

 ラマ先生がネパールの太鼓を叩き、ラメッシュ先生の弾くハルモニュームとあわせて歌声がひびきます。

  可愛いクリパが踊りだしみんなで楽しいひと時を過ごすことが出来ました。




 ラリグランスのパーティは、ハンディキャップのあるなし、カーストの違い、貧富の差、老若男女に全くとらわれない素敵な集まりだなぁといつも感動します。

 別れを惜しみながらフェリベトラ(また会いましょう)と三々五々家路に帰っていきました。

 音楽の勉強を続けるマドウとSLC試験を終えたアシャが、手をつないでバス停を目指して歩いていきます。笑い合って何かおしゃべりしています。ラリグランスクラブを通して、二人が仲良くなったのがとても嬉しく、これからも助け合って、友情を深めてくれたらいいなあ、と思いました。


 「命が見えている人は 命が見えない人に生かされている」という言葉を思い出させてくれました。

 

4 日本でのラリグランスクラブの活動

 寄付金拝受   

    コープともしびボランティア振興財団<http://www.tomoshibi-found.or.jp/>より、国際ボランティアグループとして、今年も助成金を頂きました。
 
     今年は、5月21日に、助成金をいただくグループが一堂に集まり交流会をし、著名な社会学者の上野千鶴子さんの意義深くて興味深い講演もありました。

     助成金のお陰で、皆様からネパール支援のために預かった寄付金とバザー売上金を活動の必要経費として使うことなく、全額ネパールに持参し支援活動に役立てることが出来ています。

    コープともしび財団様には心から感謝いたします。

   廣瀬雅子 様
  
   匿名希望  様   3名



バザー商品 購入 ご協力

   藤田妙様とそのグループ。

2014年4月から2015年3月までの支援金及び商品売上金は、
2015年度のネパール活動に活用するためにプールします。



5 ネパールこぼれ話 (1)

悩み多き買い物の巻

ラリグランスクラブの運営資金は、寄付金とネパールグッズ売上でなりたっています。

日本では高額で売られているものが、ネパールではお安く購入できるという物を見つけて仕入れます。

店はタメル(観光客用の店やホテルがたくさんある場所)をひと通り事前に調べておいて目につけておいた店に入ります。

ここで、注意。

 店で自分の好みとぴったり合うものを見つけた時には、絶対にその物が気に入ったという素振りを店主に見せてはいけません。でないと数倍の値段をふっかけてきます。大概の観光客はそれを半値にまでディスカウントさせたと喜んで買いますが、実際は高い買い物であることが多いのです。

 店の人は客の反応を見ながらどんどん品物を薦めてきます。それには「素敵ねえ」と反応を示めしながら、でも「お金がないから残念ながら買えないなあとか去年買ったよ」と溜息をつきつつ物件を探します。

 そして「私達はネパールの貧しい子どもたちの教育支援をしていて、バザーで売って支援金にしているんです」と、さり気なく伝えます。「そのためたくさん買うからディスカウントしてね」と軽く頼みます。

 これで店の人の態度が少し軟化します。

 縫製は正確か?ファスナーの滑りはいいか?ビーズや刺繍など壊れていないか?値段は適正か?

 ここからはこちらのペースで値引き合戦。洋子さんが毎年きれいに記録している買い物リストを見せるのが、かなり効果的です。

 向こうから、前はいくらだったのかとノートを覗きこみ聞いてくることもあります。日本語で書いているんだけれど数字を示します。これでかなり交渉時間が短縮します。


それでも素人の悲しさ、必ず1度はどこかで失敗をしてしまいます。

 今回の失敗は、前から探していた上等なショールを見つけて思わず「あったー!これこれ!」と叫んでしまい、半値にまでディスカウントさせてよかったと思っていたら、他の店でその半値にさせた値段が売値の値段だったことが分かって打ちのめされたことです。

 今思い出しても悔しい!もうあの店では買わないよ。

 あと、山羊革の美しい刺繍のバッグが、A4ファイルが入る大きさで喜んで7個も購入したのですが、日本に帰って実際に入れようとするとファスナーの開きが狭くA4ファイルが入りにくいことが判明しました。残念だけどお安くして売らなければなりません。


 てな具合で苦労して買ってきていますので、皆様ご購入に協力をお願い致しま〜す。

6 あ と が き


バザーのために仕入れてきたネパールグッズですが

友人への家内販売が増えてきました。

活動へのご理解と品質の信頼が育ってきている証でとてもうれしいです。

夏の期間、蓼科で育てるラベンダーのポプリなど

日本での手作り商品も増やしますのでよろしくご協力をお願いします。



*ラリグランスクラブは寄付金(きふきん)とバザー(など)売上金(うりあげきん)のみで活動(かつどう)しています。

   *LSG(視覚障害児寮)の運営が始まり、寮の維持(借家代、寮母さん給料、光熱費、寮生の食費)に、年間60万円ほど経費が増えました。

   *日本での事務経費は公益財団法人コープともしびボランティア振興財団からの助成金で賄うことが出来、
皆様方からの寄付金とバザー売り上げ金は全てネパールでの教育支援活動に使うことが出来ます。

   *スタッフ一同バザー活動に頑張りますが皆様方(みなさまがた)(あたた)かいご寄付金(きふきん)をこれからもお(ねが)いしたいです。


ゆうちょ銀行 総合口座への振込み

ATMによるゆうちょ銀行口座間の振込み手数料は無料です。
窓口で郵貯口座からの振り込みは手数料140円が必要です。
領収書の発行は出来ません。

   記号14360 番号68422691 

   名義 : ラリグランスクラブ 
  
   口座の種類 :普通口座

ゆうちょ銀行 振込用紙を使っての振り込み

メッセージを書くことが出来ます。
住所氏名をお書きください。領収書を発送いたします。

申し訳ございませんが振込み手数料が必要です。

(窓口での振り込み手数料:3万円未満120円・3万円以上330円)
(ATMからの振込み手数料:3万円未満80円・3万円以上290円 
  振り替え口座番号 00960-7-244821

  名義 :ラリグランスクラブ

ホームページ制作   ラリグランスクラブ代表 五十嵐園子

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