モティさんの家で過ごした日。例えば3月8日のこと。

 朝は6時半から7時ごろ起床。8時ごろまで部屋で過ごす。
昨日あったこと今日の予定等をぼんやり考えながら頭の中を整理・整頓。そして読書。

主婦のサンタさんは6時ごろ起きてシャワーで身を清め神様の小さな祭壇の前でろうそくに火をともしカネを鳴らし聖水を振りまきながらマントラ(お祈り)を一心に唱え今日一日の安全と幸せを祈る。これはネパールの一般的な主婦の務め。サンタさんも結婚した翌日から始めたとの事。
現在9年生のアヌちゃんは簡単に朝食を済ませて学校へ。

8時になって食堂に行く。「お早うございます。ナマステ!」サンタさんが熱いチャーを淹れてくれる。モティさんはテラスで新聞を見ながら「お早うございま〜す。よくねむれましたか?」と元気溌剌。

今日のお客は近所のおじさん。毎日誰かが来て一緒にチャーを飲み新聞に載っていることで話が盛り上がる。否、盛り上がりはしない。
各地で起こる政治紛争による死者。マオイストが宝石店を襲って5人殺害し1200万ルピー(2000万円)相当の宝石を盗んだ事など。
強盗殺害の怖さよりそんなお金持ちがいるんだとの事でみんな渋い顔。きっとインド人だ、、とか、、、。

「チトカウ、チトカウ(早く食べて)」というサンタさんの声。「学校に遅れるよ。早く食べなきゃ!」と1年生のアキオ君と取り交わされる朝の儀式。

「アレ?何?」プカプカドンドン。家の前を通り過ぎる賑やかな楽隊の音。「結婚式だ!」。



今日は近所の○○君の結婚式。後で見に行きましょう。
○○君は正装をし花で飾った車に乗り花嫁の家に向かうところです。先頭には楽隊。次に関係者男子グループ。そして一般の人が列に加わりゆっくり行進。それに先立って花嫁側の家では玄関先に供物で飾られた祭壇が作られ僧侶がマントラ(お祈り)を唱え新郎新婦用にテーブルと椅子が用意されている。そこにクマリ(結婚前の女の子)が供え物を掲げ一列に並んでやってくる。関係者が金1封入っているらしき封筒を手渡し供物を受け取りテーブルに飾る。

結婚式の様子を朝食後に見に行き、戻ってラリグランスクラブ奨学制度ついての正式なファイルをモティさんと2人で相談しながら作成する。
英文で作るのだが英語は2人にとって外国語である。お昼にまでかかってしまった。

昼食後タメルに買い物に行く。日本のバザーで売るためのものである。今回はカモシカ皮ハンドメイド刺繍のポーチを主に買った。色々100個に近い物の一つ一つ縫製がきちんとしているかチェックしなければならない。それとディスカウント。
夕方になってしまったが今日のうちに奨学生候補のシルスティちゃんを訪ね書類を作ってしまいたいのでバクタプールのコトゥンディ村に向かう。
バスを乗りついで行く。満員のバスの中通路に立って前を見ていたら向こうからバイクが来た。いつものように「危ないなあ。近寄りすぎるんじゃないかなあ」と思ったとたんガッシャ-ンと凄い音がしてバイクは視野から消えた。バスは急停止。事故。一番に見に降りていったのがモティさん。みんなゾロゾロ見に降りていく。私は恐ろしくてやっと空いた座席座って呆然。しばらくするとモティさんが戻り、「足がめちゃくちゃ。死んでるかもしれない。動かない」と言う。バスは動く気配がないので仕方がない歩き始める。

大分歩いてやっと次のバスが来て乗る。最寄のバス停で降りてまだ30分は歩かねばならない。
だんだん暗くなり不安。そのうち生理的欲求に我慢しきれず木陰でようをたす。スッキリした所で又歩きやっと家に着く。

書類に記入してもらいに来たのだけれどお母さんは字が書けない。5歳のシリスティちゃんが覚束ない手つきで10ワットぐらいの小さな裸電球の元で記入する。お父さんは今日も仕事場に泊まるらしく後日店までお父さんを訪ねる約束をして家に戻る。

やれやれ。サンタさんの作る美味しいお料理をいただきながら「今日も忙しくて疲れたけれど充実した一日だったね。」と満足。
夕食後シャワーをしていたら停電。暗闇の中で汗を流しあとは寝るっきゃないので就寝。

次へ