ラリグランス通信(つうしん) 128号

** 2016/06/08発行 **



ネパールも田植えのシーズンです。手前には震災後に応急に修理された住居。
震災から1年経っているのですが地震の影響を受けた貧しい民家はどこもだいたいこんな感じです。
2016.5.22.  photo by SONOKO

                      

日本は梅雨に入りました。

ネパールも雨季に入りました。

時々大雨になったり、急に暑い日差しがさしたり。

通信128号はネパール視察旅行の報告です。





目  次 ( content )

 1
2016年ネパール視察報告

 2
2016年お楽しみ旅行
 
 2 日本でのラリグランス活動
3 
 あ と が き







1 2016年ネパール視察旅行報告





  ラリグランス震災被災奨学生を訪ねて(5月14日)

  Subashu Ghlan(スバシュ グラン)
    
              
     
   2015年4月のネパール大震災で勉強が続けられなくなったスバシュ君を震災後からサポートしました。

   彼の住むSnakhu地区の被災は壊滅的で、一年後の今も復興の兆しはないように見えました。

     

  そんな中でスバシュ君は4月に行われたSLC(高校卒業資格認定試験)を無事に済ませることが出来元気でした。

  卒業後は軍隊に入り働きながら勉強を続け軍隊の上級試験を目指して頑張りたいと話してくれました。

  どうして軍隊に行くのを決めたのかと聞くと「経済的自立と国と人々を守るため」ときっぱり。

  とても頼もしく見えました。

 
 彼への奨学金支援は終わりました

  
連絡を取り合い見守りは続けます。
  





 Siwani Nakhan(シワニ) と Kausila(カウシラ) Gautam (5月23日)

  

             ラリグランス バチカ 小学校に通う シワニとカウシラを 学校に訪ねました。
(右端はカウシラのお母さん。)

 
シワニ ナカンちゃん。6年生。


震災後サポートを始めたディベシュ君に事情があり、入れ替わってシワニのサポートが決まりました。

シワニのお母さんはモティさんが関係している牧場で働いています。

シワニの弟は男なので他のグループからすでに教育支援を受けて学校に通っていますが、女性である姉のシワニにも是非教育を受けさせたいと教育を受けていないお母さんが熱心に申し出ました。

家は震災で崩壊し、住むための小さな小屋は、訪問しましたが、レンガ工場で働く父と牧場で働く母で隙がありません。姉弟はラリグランスバチカ小学校の寄宿舎に入って勉強します。

クラブではシワニの学費と寄宿舎費用をサポートします。

将来の夢は「ダンサー」とにっこり。







 

カウシラ ガウタム ちゃん。2年生。


カウシラのことは通信119号でもお知らせしました。

震災直後は両親は働く場を失い困っていましたが、今学校近くに小さな店を持つことが出来てお母さんが案内してくれました。

とても小さなお店でしたが心は豊かに見えました。

4月から2年生に進級。

学年で3番の好成績。

キリッとして賢そうで可愛らしい。

将来の夢は?の質問に、学校の先生になりたいとキッパリ。









 ラリグランス奨学生を訪ねて(5月15日)


Siristi Doural (シリスティ ドウラル )

彼女は奨学生プロジェクトを立ち上げた時の第一号です。2006年です。

心臓に欠陥があり無理はきききませんが、シッカリ勉強を身につけ自立させたいとの両親の願いがありました。

カーストは最下層、貧困と差別に戦っていました。

すぐに支援をすることになりました。(写真左通信23号参照)

  

勉強を続けて10年(写真右)。

両親の懸命の働きとそれに応えて勉強に励むシリスティはすくすく育ちました。

家も年々手が加えられきれいになっていきました。

今年4月にSLC試験を終えて、結果はまだ発表されていませんでしたが手応えはあったようです。

仕事を見つけ働いて両親を安心させたいと言いました。

ラリグランスからの教育サポートは終わりです。

お母さんは出来れば働きながら勉強を続けさせたいと言い、その時はユニフォーム代をサポートして欲しいと遠慮がちに言いました。

別れは寂しいですがこれからも連絡を取り合って見守ります。


Asha と Anupu (アシャとアヌプ)
 
      
 
 アシャ3年生、アヌプはまだプレスクールでした。(通信24号参照

 姉のアシャと弟のアヌプは ラリグランススカラシップの第2号です。

 今ではアシャは18歳12年生。アヌプ8年生で学校をやめて今16歳。

 シリスティと同じく2006年。10年前に奨学生になりました。

 両親は出奔。祖母(母の母)と3人暮らしでした。

 2年前に祖母は亡くなりました。

 お婆さんに可愛がられたアヌプは厳しい姉のアシャと喧嘩をして家出してしまいました。

 彼への教育支援は去年打ち切りました。

 アシャは友人の家にお世話になりながら頑張ってSLC試験に合格しカレッジに進学。

 ラリグランスクラブでは家庭の事情を考えてカレッジの学資を引き続きサポート。

 家出していたアヌプが、SLC試験に合格しないと自立できないことが分かったのでしょうか戻ってきました。

 学校には復学しないでSLCコーチングスクールに通いシッカリ勉強することを約束させ奨学金再開。

 アシャは友達の家にいますがアヌプは背後のお婆さんの祭壇に毎日お祈りを欠かしていません。

 家出の苦しかった経験を活かし勉強を頑張ることでしょう。

 けれど問題は二人共戸籍がないことです。

 両親からの出生届がなされていません。市民証明書もないです。このことは安定した職場の門はとざされていることを表しています。。

 二人を見守ります。
 


 

 Bishal Taman( ビシャル タマン)  5月15日

 ビシャルも2006年からサポートしてきました。(通信24号参照

 両親は離婚したばかりで、お母さんには収入はなくビシャルに教育はもちろん、育てるにも困っていました。

 私達との出会いがあり教育支援を始めました。

 この10年の間にお母さんは再婚、弟の出産、お父さんの行方不明と困難が続きましたが、来年のSLCを迎えるまでにこぎ着けました。

 頑張れ、ビシャル。

 SLC試験の後の希望をききましたが、まだわからないとのこと。

 とにかく今はSLC試験に向かって勉強に励むということでした。

 この日は来年のSLC試験のため、朝6時から学校へ補講に行き、自宅に戻り朝食を済ませ、9時から学校ということで、その朝食の短い時間での会話でした。

  LSG(ラリグランス視覚障害児寮)を 訪ねて 

 この項は、次回通信129号で久堀洋子が報告します。





  元WEP(婦人識字教育プロジェクト)の村に 地震被災お見舞いに訪問する。

  2007年から、ダディコット村 と タマン村で お母さんたちへの識字教室を開いていました。

  お母さんたちは勉強意欲に溢れ、野良仕事と家事を済ませると駆けつけ、楽しみながら熱心に勉強していました。

  2009年には村を訪ねた時には、2つのグループが一緒になってピクニックを楽しみました。
 
  ラリグランス通信55号に楽しい様子が載っています。前述の幼かったビシャルやシリスティの記事があります。

  今55号を改めて見ると盛りだくさんのニュースが楽しいです。クリックして見てください。

  ネパール語のアルファベットの読み書きを2年がかりで学んだあとは働かなければと言われ、感謝されながらも婦人識字教育プロジェクトは終わりました。

  その地区は震源地にも近く地震のあとすぐにラリグランスクラブからテントや食料を支援し、大変喜ばれました。(掲示板ブログ。震災地情報を見てください。)
  
     
  
  今回私達は日本の支援者から寄贈して頂いた衣服を持って村を訪ねました。

     

  皆さん識字教室のこと私たちのことをよく覚えていてくださり、7年ぶりの再会を大変喜び合いました。

  「もう一度勉強したいよ」という声も聞けて嬉しくて感動しました。
  
  衣服は二人で92Kgの許容量いっぱい持って行きましたがすっかりなくなりました。

  あとはキャンディを配りました。みんな本当に嬉しそうでした。



  

2 2016年お楽しみ旅行

2016年度のお楽しみ旅行は、カトマンズ東約100KmのChitland Villageへの旅です。

参加者は、モティさん夫妻と息子のアキオ、久堀洋子と私の5人。

カトマンズに水を供給する大きなKulekhani Damという美しいダム湖があり、そこを目指します。

道も舗装されていないところが多く大型ジープをチャーターしました。

 5月19日(木

   ★ 時は1950年頃、ネパールはラナ族が専制力を持っていた。王が乗るための自動車をインドからカトマンズへ運ぶために60人ぐらいの奴隷たちが祭りの山車の様にみんなで自動車を肩に担いで道を作りながら歩いたという街道を車で走った。

      今はタライ地方とカトマンズリングロードをつなぐ幹線道路となっているが、凸凹道で周りの景色も当時とあまり変わっていないのではないかと思いながら彼等が8日間かかったという道を1時間で通り過ぎた。

   ★ 今日目指すはチャンドラギリ(2475m)の山。麓からロープウェイが開通するというので楽しみにしていたが開通は1週間遅れていて、ひたすら山道をゆく。

     山に点在するネムの木のピンク色の花が美しい。

     木イチゴやハクパクという樹の実があると車を止めては食べて休む。

       
     (道路工事に向かう女労働者を乗せたトラックも止まり、私達も車から降りて木の実をつまむ。)

     頂上直下につき、頂上にある建設中のバレシュワール寺を目指して急坂を登ること30分。

        
  
    ネパール特有のスレート岩をふんだんに使い建築中だが美しいバレシュワール寺院。

  ★ 山を下り宿泊地のチトラング村へ向かう。

    チトラングリゾートは梨畑が続く美しい村で、他は何もない静かなところです。お泊まりはテントかロッジです。
    
    ロッジに泊まったのですがシャワーは出ずトイレは水漏れでビシャビシャでお粗末でした。

    お安いからまあいいっか。と許していたところカトマンズに戻って領収書を見てびっくり。タメルのフジホテル並の料金だった。

   この次からはホテル代を支払うときにはシッカリ料金を確認すべきことを学んだ。そんなことはアタリマエのことなのについ信用して言いなりになってしまうこともある。

   バザー商品を仕入れるときはディスカウントを強要しチェックを欠かさないのにプライベートでは急にルーズになってしまう。

   勉強になった。モティさんもお金持ちっぽくなってこられて、私達も金持ち日本人お婆さんと思われるから騙される。

   油断してはいけない。


     
 
    明日を楽しみに就寝。

  5月20日(金)

   ★ ネパールで最初で唯一というヤギチーズ工場見学。

  オーナーはフランスに研修に行き、この地でヤギを飼いチーズ作り工場を始めて20年。

  試食させてもらうと見事に美味しい。

  カトマンズの五つ星ホテルと契約し週に3回配達販売しているとか。試食したヤギ生チーズの美味なことに驚く。

  高級ホテルに泊まるとこういうチーズがメニューにあるのか。

  日本では1つ2500円ぐらいで売っている山羊チーズを、1つ250ルピー(260円)で3個買って帰る。

     

 オーナーの娘さんがチーズ作りを丁寧に説明し手作りの様子を実演してくれた。

 オーナーも「ボンジュール」などフランス語をちょっと口にしたりしてカッコ良い。

 感動して見学したが、帰るとき説明料をしっかり請求されてテンション下がってしまった。

 ★ いよいよ本命のダム湖に向かう。

   この旅の下見にモティさんは3月にダムをチェックしてくださっていたのだが、その時満々と水を湛えていたダム湖がなんと3分の一ぐらいに減っていたという。

   モティさんはがっかりしていたが、私達にとって渓谷に架かる吊り橋から美しい渓谷を覗き見ることが出来てよかった。

   

   時々ザーとスコールのような大雨が降り放牧された牛やヤギが右往左往するのも愉快だった。

   牛は雨が平気。ヤギは雨が嫌いということを知った。

   

  カトマンズへの帰りは土砂降りで途中の茶店に寄って薪のかまどで作った20ルピー(21円)という安いミルク紅茶を飲んだ。

 毎年珍しい所に案内していただいているが、今回ほどネパールの生活文化が凝縮された発見の多い旅はなかったのではないだろうか。

 貴重な体験ができたお楽しみ旅行でした。



 専制




3 日本でのラリグランス活動

 ネパールで仕入れた商品の値段つけ と 仕分け

     今年のバザーは、①8月に長野県でのバザー
                
                ②10月のKSC(神戸シルバーカレッジ)でのバザー 

                ③10月の京都ノートルダム女子大学での学祭に出店

                ④11月の神戸六甲カトリック教会のバザー 
     を予定しています。

 ネパール仕入れ商品のお買い上げ
     
     西宮市夙川の Bagus(バグース)さん( http://bagusshop.exblog.jp  )が、お買い上げにご協力


ネパール商品のお預かり(販売)ご協力


    ☆川勝宏子様  ☆ 藤田妙様

 寄付金のご協力

    ☆ 東野政子様   ☆ 杉原冨美子様

    ☆ 京都ノートルダム女子大学同窓会 様

皆様方の変わらぬご協力に感謝いたします。

本年度の売上金 寄付金は 2017年度の活動に役立たせます。


         

4 あ と が き

2016年度のネパール視察旅行も無事に終わりました。

年に一度訪問し、ラリグランスクラブ活動の成果をこの目でしっかりと確かめることが出来るのです。

多くの方々からのご支援の賜であり成長の喜びを支援者の方々とシェア出来ることが嬉しいです。

これからもどうぞ暖かいサポートをよろしくお願いします。




*ラリグランスクラブは寄付金(きふきん)とバザー(など)売上金(うりあげきん)のみで活動(かつどう)しています。

   *LSG(視覚障害児寮)の運営のため、寮の維持(借家代、寮母さん給料、光熱費、寮生の食費)に年間60万円ほど経費が増えました。

   *2015年6月より、震災被災児童の教育支援も始めましたので、さらに資金が必要です。

   *日本での事務経費は公益財団法人コープともしびボランティア振興財団からの助成金で賄っています。

    皆様方からの寄付金とバザー売り上げ金は全てネパールでの教育支援活動に使うことが出来ます。

   *スタッフ一同バザー活動に頑張りますが皆様方(みなさまがた)(あたた)かいご寄付金(きふきん)をこれからもお(ねが)いしたいです。


ゆうちょ銀行 総合口座への振込み

ATMによるゆうちょ銀行口座間の振込み手数料は無料です。
窓口で郵貯口座からの振り込みは手数料140円が必要です。
領収書の発行は出来ません。

 記号14360 番号68422691 

 名義 : ラリグランスクラブ 
  
  口座の種類 :普通口座

ゆうちょ銀行 振込用紙を使っての振り込み

メッセージを書くことが出来ます。
住所氏名をお書きください。領収書を発送いたします。

申し訳ございませんが振込み手数料が必要です。

(窓口での振り込み手数料:3万円未満120円・3万円以上330円)
(ATMからの振込み手数料:3万円未満80円・3万円以上290円 
  振り替え口座番号 00960-7-244821

  名義 :ラリグランスクラブ

ホームページ制作   ラリグランスクラブ代表 五十嵐園子

トップページへ