ラリグランス通信(つうしん) 88号

** 2012.05/31 発行 **

                                            

           

                       [ 働く女労働者 ]      高級スーパーマーケットの横で  2012.4.photo by SONOKO




   ネパールでは27日、憲法公布が出来ませんでした。

   新憲法決裂。議会は任期切れで解散。。

バンダ(ゼネスト)騒動は静まり、不安を抱えながらの日常が始まったようです。

どの国の政治家も権力を持ったとたんに道を誤るみたい。

我々小さな草の根集団は地に付いた活動で根を広げ

道を誤らずシコシコ頑張りましょう。


(もく)   ()

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Nepal's constitutional crisis
<ネパール新憲法制定の危機

reported by Moti Ghimire
モティ・ギミレ記

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スカラシップの子ども達

reported by Moti Ghimire

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ラリグランスクラブ諸活動報告
 
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ネパール面白新発見
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あ  と  が  き

 

1 Nepal’s constitutional crisis     ネパール憲法設定の危機

4年前の2008年4月。ネパールは選挙によって王が失脚し、長い王政専制国家は終わりました。

あの瞬間、国民は、手を取り合いネパール共和国として歩みだす喜びに湧き上がったことを今も思い出すことが出来ます。

しかし折角選挙で選ばれた議員が権力争いに明け暮れて国は上手く動きません。その様子をホームページでもお知らせしました。

<2008年1月・ 通信34号 ネパールのこの頃> 
<2008年2月・ 通信39号 今ネパールが抱えている問題>
<2008年4月・ 通信41号巻頭の言葉>
<2008年5月・ 通信43号巻頭の言葉>
<2008年7月・ 通信45号モティの一日ツーリング>

上記の通信を見ていただくと、ネパールの問題が4年経った今も何も解決されず生活は益々困難になっていることが分かります。

先日2012年5月27日に定められた新憲法制定日も、残念ながら法案は流れてしまいました。

その悲しくも腹立たしいネパール人の気持ちをモティさんがレポートしてくださいました。


    
2012年5月憲法設定日を間近に控えバンダと呼ばれるゼネストが頻発。
その都度、道路閉鎖、学校は閉鎖で、市内の活動はストップする。

    
バンダで街中は人影も少なくひっそり。
子どもは学校が休みで退屈そう。

Nepal's constitutional crisis

                                   reported by Moti Ghimire

           Due to the disputes of the main political parties, constitution assembly has been dissolved on Sunday 27th may 2012. The Nepalese citizens with expectations of new constitution, peace and great opportunities are let down once again. They are sad than ever since that day because  constitution assembly members have yet again failed to make the so awaited new constitution. The citizens have feared that the security, unemployment, and the troublesome politics will get worse. 4 years back, these people lit candles to celebrate the democracy which makes no sense now.                
     The citizens are worried not only about their lives but the future of the country. The country is without constitution for 4 years. They had hoped for a system after the constitution but now is seen nowhere in the picture. There is no condition to feel safe in the country.

      With 15 minutes left for the deadline of the constitution, Prime Minister Baburam Bhattarai  declared the date for fresh elections to the Constituent Assembly on 22 November  2012. The people have lost faith in the parties who were unable to make the constitution since four years. They don’t seem to expect any changes with the new election.
     The parties have been doing nothing but spend the wealth of the country since four years. Apart from the inability to make the constitution and provide a better situation for the people, the parties have betrayed the Nepali citizens and lost their faith.

      ネパールの憲法制定危機について  
 主要政党(マオ派、会議派、統一共産党)は、2012年5月27日(日)制憲議会任期満了日を迎えましたが、草案の合意に至らず憲法は制定できずに解散しました。

 新憲法制定と国の平和に絶大な期待を寄せていたネパール国民は、再び打ちのめされました。国民は今回も新しい憲法を設定できなかった議会に絶望させられ悲しみを味わっています。

 市民達は、再び4年前の状態にもどり、治安、雇用問題、物価高の不安にさらされるのかと恐れ、もはや意味がなくなった民主主義に向けてのお祝いのロウソクに火を灯すことになりました。

 市民達は自分達の生活の心配だけではなく国の将来についても心配しています。憲法なしの4年間でした。新憲法の設定に希望を持っていたのに今や何処にも希望をえがくことは出来ません。生活には安定感がありません。

 バッタライ首相(マオ派)は、たった15分間で、11月22日に選挙をし新憲法設定会議を開くと宣言しました。

 国民は4年間も何も出来なかった政党をもう信頼しません。どの政党にも期待できなくなりました。

 政治家達は、この4年間、国民のためになにもやってこなかったにもかかわらず、裕福な暮らしをしてきました。国民を裏切り私利私欲に走った彼らにたいし、ネパール市民達はすっかり信頼を失ってしまいました。

  

                              Four-Year time line of Constituent Assemly
               憲法制定会議の4年間の歩み

*2008, April 10:Election to 601-member  Constituent Assemly held
 2008年4月10日 選挙により憲法会議メンバー601人選出
*2008,May 26:First meeting of Constituent Assemly(CA) and declaration of republic
 2008年5月26日 最初の憲法制定会議と民主共和国宣言

* 2010 May 28: Constituent Assemly  term extended by a year
 2010年5月28日 憲法設定会議 1年延
* 2011, May 28: Constituent Assemly  term extended by three months
 2011年5月28日 憲法設定会議 3ヶ月延期
* 2011, Aug 29: Constituent Assemly  term extended for another three months
 2011年8月29日 憲法設定会議 あとさらに3ヶ月延期
* 2011, Nov 29: Constituent Assemly  term extension of six months
 2011年11月29日 憲法設定会議 6ヶ月延期
* 2012, Jan 31: State Restructuring Commission advises 10 federal states
 2012年1月31日 州再編成委員会が10連合州をすすめる(注:先住民族系の超党派議員団のことか?

* 2012, May 15: Parties agree on mixed form of governance with 11 federal states
 2012年5月15日 政府の超党派グループが11連合州を認めるのに同意する
* 2012, May 22: Government proposes three-month extension. Writs filed in Supreme Court against the proposal
 2012年5月22日 政府が憲法設定会議 3ヶ月の延長を提案。(注:長年抑圧されてきた先住民族が新憲法で連邦制が実現されないと大規模のゼネストを展開、カトマンズは大混乱)
* 2012, May 24: Supreme Court issues interim order not to extend the Constituent Assemly  term
 2012年5月24日 最高裁判所が憲法設定会議を延長させないよう公布
* 2012, May 27: Constituent Assemly   dissolved
 2012年5月27日 憲法設定会議 分解 解散

前回の通信87号で紹介しましたが、ネパールでNBSA(Nepal Blind Support Association)の活動をされている代表の渥美資子さんに色々助言をいただいています。NBSAの通信でも、今回の新憲法設定決裂のニュースを載せられていたのが、とても分かりやすかったので、渥美さんの了承を得てコピーさせていただきます。

 ■ネパールの政治的状況 

「2012年5月27日 延長に延長を続けた新憲法が成立する予定であったが また延長になった  もうネパールの政治的動向を占える者は だれもいそうにない このまま行くと ネパールと呼ばれている国は政治紛争が元で 消滅する可能性さえありうる」 こう語るのは今年17歳になるSA君  彼に最近のネパールの政治的動向を書いてもらいました
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数日前 タライ地方において既成の主流3大政党 並びにタライ地方の11の連邦党多党派グループ などが参加した会議の席上で 新憲法をめぐり様々な政党党員246人が断固反対の意を表した  同時に西部ネパールにおいても2つの政党によるデモが発生  さらに中西ネパールに多く住むタルー族と かなり遠い西部ネパールのフォーラム支持者が連帯し ゼネストを拡大した  この小さな国で どの民族もアメリカのような自治州の設立を目指しているのだ 

東ネパールに多く住むモンゴル チベット系住民のライ族 リンブー族 さらに人口比率の高いタマンが タライ地方のヒートウェーブに煽られ立ち上がった  驚くべきことにヒンズー教の最高位カーストのバラモン さらにチェトリたちが自分たちの身分の保持を主張しだし 多数の民族的グループに油をそそいだ

ネパールに文化を築き 今日でも経済的実権を握っているカトマンドゥ盆地内のネワール族の間でも抗争が始まり バンダが行われた  同じ民族とは言え彼らの立脚地点があまりに違いすぎるのだ  バクタプルのネワールはその古風な生活習慣を誇示  カトマンドゥのネワールは商業活動が守られればなんでもよい  パタンのネワールは伝統文化と仏教的ライフスタイルを重視 などなど 

今のネパールは連邦政府などいまや問題ではないようで 連邦党 連合党が大きく巾をきかせているように見うけられてる  バタライ現首相は大変に有能な政治家であるが 僕には将来が見出せない  ただ一つ心配なのは まさかとは思うが多くの犠牲を払い 打倒した王制がまた復活しまいかと言うことだ 



2 スカラシップの子ども達

私たちが帰国する頃から、カトマンズはバンダ(ゼネスト)が頻発して都市機能不能に陥りました。

交通もマヒして学校は長期休校となったようです。LSGはどうなったのでしょうか。モティさんに訊ねました。

Schools shut in valley
           Most of the private schools in Kathmandu district remained closed last week  due to the various demostrations,protest rallies and agitations of different organizations,which could effect free movement of students and school buses.The Laboratory School,where the students of LSG are studying,also remained closed  till yesterday.Now all the schools are starting.Area around the constituent Assembly in New Baneshwor  and whole city remained tense  last week due to the demonstration of various groups affiliated to political parties,civil society and ethnic  communities to exert pressure for the timely issuance of the constitution ,however the constituent Assembly(CA) comes to an end on May 27 after 4 years. 
   
    
写真は、ビシャルの家の前の様子(左)とパタレバンの田舎の小学校新入生。始業日で緊張していました。 2012.4

   カトマンズにある殆どの私立学校は、先週(5/22~26日)ずっと休校が続きました。様々な団体が集会やデモをしていたので、学生たちは自由に行動できなかったし、スクールバスも運行できませんでした。 
   
   LSGに寄宿している生徒たちが通学する「ラボラトリースクール」も昨日まで休校でしたが、やっとすべての学校で授業が始まりました。
   
   憲法制定会議の行われているニューバネショワーや、他の都市周辺では、先週は緊迫した情勢でした。
   
   政党、市民団体、民族組織などが憲法制定に向けて、プレッシャーをかけていたので憲法は制定できず、設定は持ち越されました。




3 ラリグランスクラブ日本での活動報告

 バザーのための仕入れ品の整理

 今年は、前通信87号でも触れましたが、マンネリ化を防ぐために店も変え、これまでとは趣の変わったものを捜しました。

バザーでは値の張らない小物が売れるので、ビーズアクセサリーやフェルトのブローチやストラップなどを重点的に探しました。

ブラウスなどの洋服も購入し、ちょっと値の張るものとしてやはり外せない美しいパシュミナ(カシミヤ)ショールも、モティさんの知り合いの店で適正な価格で仕入れることが出来ました。

冬用には、毛糸プロジェクトの製品も今オーダーしているところです。

 

   

今後ともよろしくお買い上げをお願い申し上げます。

  寄付金を頂きました

  コープともしびボランティア振興財団
 
  今年も2012年度の申請満額の助成金を頂きました。
 
  ともしび振興財団は1996年2月に、阪神淡路大震災時、多くのボランティアの協力が復興の力になったことを契機に設立されました。
  
 この助成金はボランティアを受ける方たちのためではなく、ボランティアをする人のためなので、ラリグランスクラブの場合、日本での活動をするためにかかる経費や事務用品などを助成してくださいます。ですからラリグランスクラブに集まる寄付金は全てネパールでの支援活動に使うことができるのです。

 京都ノートルダム女子大学同窓会

 私は当女子大1期生で、同窓会では一番年上になります。<1期生がその歳でボランティア活動を頑張っているという事が、同窓生のお手本になり励みにもなりますから>と、毎年ご寄付くださっています。

 母校の期待に添えるよう頑張ろうという気持ちになり、それが活動を続けられる底力になっていることに感謝しています。

 匿名希望様   2名

 ネパールに直接行って活動できないので、自分の代わり活動くださいと寄付を下さる方が多いです。
 
 支援者の暖かい心と、ネパールの子ども達の感謝の笑顔をとりもつことが出来て嬉しく思っています。

 これからもよろしくお願いします。



4 ネパール面白新発見

   
旅行の時に気になるのが洗濯。

特に期間の長い旅や埃っぽい国に行くとなると、出来れば毎日洗濯をしたいと誰もがおもうでしょう。

私たちの旅も例外ではありません。

洗剤は小林製薬から出ている「サラサーテ」という優れものの液体洗剤を毎年持参します。小さじ1杯の洗剤を溶かしたバケツの水に20分浸けるだけで汚れがとれます。私たちは夜に浸けこみ朝、ザット絞って干すだけ。

これからが、ネパール新発見

ネパールでは、あっというまに乾きます。

歳とともに握力が弱くなりきゅっと絞れず、しずくがボタボタ状態なのに朝干すと昼には乾きます。

日本では、衣服が重ならないように注意しながら棹に干したりハンガーにかけたりしますが、ネパールではロープや垣根や原っぱに無造作に広げるだけでOKです。すぐ乾きます。それだけ日差しがきついのでしょう。

郊外の川に行くと、必ず川で洗濯をする婦人と、川原にジーンズやショールなどを干している風景がみられます。

あっ、ネパール人は固形石鹸でごしごし洗っておられます。重労働です。

5 あ と が き

今週は各地に、雷とみぞれに大粒の雨が襲いました。

スカイツリー展望台からその天気の変移がドラマチックに見えたそうです。

最後は虹がかかって美しかったとか。

でもなんだか不安が胸をよぎります。

平和な世が早く来ますように!



ラリグランスクラブは寄付金(きふきん)とバザー(など)売上金(うりあげきん)のみで活動(かつどう)しています。皆様方(みなさまがた)(あたた)かいご支援(しえん)をお(ねが)いいたします。


ゆうちょ銀行 総合口座への振込み

ATMによるゆうちょ銀行口座間の振込み手数料は無料です。
窓口で郵貯口座からの振り込みは手数料140円が必要です。
住所不明のため領収書の発行が出来ません。

   記号14360 番号68422691 

   名義 : ラリグランスクラブ 
  
   口座の種類 :普通口座

ゆうちょ銀行 振込用紙を使っての振り込み

メッセージを書くことが出来ます。
住所氏名をお書きください。領収書を発送いたします。

申し訳ございませんが振込み手数料が必要です。

(窓口での振り込み手数料:3万円未満120円・3万円以上330円)
(ATMからの振込み手数料:3万円未満80円・3万円以上290円 

  振り替え口座番号 00960-7-244821

  名義 :ラリグランスクラブ

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